袋ナットLOVEコラム

  • 2026年02月12日 技術コラム
  • 【試作レポート②】検証!袋ナットの内側までメッキは乗るか?ニッケル合金メッキ

ニッケル合金メッキ2

ニッケル合金メッキの外観と特徴:独特の「青み」

前回のコラムでレポートした「ニッケル合金メッキ」の試作袋ナット(N=100個)が、処理を終えて研究所に戻ってきました。 まず注目すべきは、その外観の美しさです。

ニッケル合金メッキが施された袋ナットの全体写真。青みがかった銀白色の輝き。

ニッケル合金特有の、わずかに青みを帯びた深みのある銀白色。

通常の亜鉛メッキやニッケルメッキとは一線を画す、高級感のある「青み」が特徴的です。 外観の美しさは、製品の品格を上げます。耐食性を期待させる重厚な輝きがあり、装飾性が求められる箇所への採用も十分に検討できるレベルです。

【検証結果】袋ナット内側のメッキつきまわり

さて、今回の最大の検証テーマである「袋ナット内側のつきまわり(メッキの乗り具合)」を確認します。 通常、電気メッキにおいて袋状の部品は、内側が「電気的な死角」になりやすく、奥に行けば行くほどメッキは薄くなるのが定説です。

しかし、内側を覗き込んだ私たちは、良い意味で予想を裏切られました。

袋ナットの内側拡大写真。ネジ山から底のドーム部分まで光沢のあるメッキが乗っている様子。
袋ナットの内側拡大写真。ネジ山まで光沢のあるメッキが乗っている様子。

ご覧の通り、ネジ山はもちろん、袋の底(ドームの頂点裏側)に至るまで、しっかりと光沢のある被膜が形成されています。 「袋ナットの内側はメッキが乗らない」という懸念を払拭する、完璧に近い被覆状態です。
100個全て確認しましたがめっきがのっていない物はありませんでした。

なぜこれほど綺麗に乗ったのか? 「N=100」の好条件

素晴らしい結果ですが、ここで設計者の皆様に冷静な視点を持っていただく必要があります。 「ニッケル合金メッキなら、袋ナットの内側も完璧に守れる」と即断するのは時期尚早です。

今回の結果は、「試作数量 100個」という条件が大きく影響しています。

バレルメッキ方式において、100個という極小ロットは、以下のような好条件を生み出します。

  1. 攪拌(かくはん)効率の最大化: バレル(樽)の中で製品同士がぶつかり合う密度が低く、常に新鮮なメッキ液が袋の内側へ入り込む。
  2. 電流遮蔽(シールディング)の極小化: 製品同士が電気を遮り合うことが少なく、通常なら届かない奥まった部分(袋の底)まで電流が流れる。

つまり、今回の「完璧な内側メッキ」は、小ロット試作だからこそ実現できたデータである可能性が高いのです。

量産移行時の設計上の注意点

この試作結果は、ニッケル合金メッキと袋ナットの相性が、条件さえ整えば非常に良いことを証明しました。 しかし、数千・数万個単位の量産に移行した際、全く同じ品質(内側の膜厚)が維持できるとは限りません。

研究所からの設計アドバイス

  • 試作=量産」ではないと心得る
    試作品で内側までメッキが乗っていたとしても、量産時は「内側のメッキは薄くなる」という前提で安全率を見てください。
  • 条件変更時の再評価
    数量が増える(バレル内の投入量が増える)場合は、改めて「中量産トライアル」を行い、内側の耐食性が要求レベルを満たすか確認することを推奨します。

可能性を感じる「美しい試作品」

とはいえ、今回の試作で得られた「青みのある美しい外観」と「高いつきまわり能力のポテンシャル」は、非常に明るい材料です。

過酷な環境下で使用される袋ナットにおいて、このニッケル合金メッキは有力な選択肢の一つになり得ます。 「まずは現物を見てみたい」「自社の条件で量産テストをしてみたい」という設計者の方は、ぜひ一度ご相談ください。

「限界への挑戦」は、まだ始まったばかりです。次回も、さまざまな視点からのリアルな検証レポートをお届けします。

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