袋ナットLOVEコラム

  • 2026年02月04日 トラブル解決技術コラム
  • 【試作レポート①】「袋ナットの内側」までメッキは届くのか?——ニッケル合金三価白への挑戦

試作レポート①】高耐食「ニッケル合金」×「袋ナット」の壁

私たち「袋ナット研究所」には、設計者の方々から日々ディープな相談が寄せられます。中でも多いのが、表面処理に関するお悩みです。

先日、あるお客様より「ニッケル合金三価白メッキの袋ナット」の試作依頼をいただきました。 最大のミッションは、「袋ナットの内側、ネジ山や底の隅々まで、どこまでメッキが乗るのかを可視化すること」。

なぜ「袋ナットの内側」のメッキは難しいのか?

一般的な貫通ナットと異なり、袋ナットはその名の通り袋形状をしています。これがメッキ工程においては非常に厄介なハードルとなります。

  1. 液溜まりとエアポケット メッキ液に浸漬した際、袋の底に空気が残ってエアポケットになりやすく、その部分にはメッキ液が触れません。逆に、洗浄工程では液が抜けにくく、シミや錆の原因になるリスクもあります。
  2. 電流密度の偏り 電気メッキの場合、電流は尖った部分(外側の角など)に集中しやすく、窪んだ部分や奥まった部分(袋の内側)には流れにくいという性質があります。

つまり、外観は美しく仕上がっていても、「本当に守りたい内側のネジ山」が無防備に近い状態になっていないか?という懸念は、設計者として当然の悩みどころなのです。

今回の挑戦:ニッケル合金 + 三価白

今回の依頼で使用する「ニッケル合金メッキ」は、一般的な亜鉛メッキに比べて耐食性が非常に高く、自動車部品や航空機関連など、過酷な環境下で使われる部品によく選定されます。また、「三価白」仕上げにより、RoHS指令などの環境規制にも対応したクリーンな皮膜が求められています。

高機能なメッキだからこそ、コストもかかります。だからこそ、「量産してから内側が錆びた」という失敗は許されません。 お客様が「現物を確認したい」と仰るのは、カタログスペック上の数値ではなく、実際の製品形状における「被覆力(カバレッジ)」を目で見て、手で触れて確かめたいという、非常に理にかなったご要望なのです。

「現物確認」こそが最大の安心材料

私たちは、こうした「確認のための試作」を大歓迎しています。

  • 特殊な形状の袋ナットにおいて、メッキ液がどこまで回るか。
  • ネジの嵌合(かんごう)具合にメッキの厚みがどう影響するか。
  • 袋底部の溶接部分や隙間の処理はどうなっているか。

これらは、図面上のシミュレーションだけでは100%の正解が出せません。実際にメッキ槽を通し、完成した袋ナットの内側をライトで照らし、あるいはカットして断面を観察することで初めて得られる「納得感」があります。

まもなくメッキ完了。その結果を公開します!

現在、試作サンプルは最終のメッキ工程に入っています。 メッキが上がった直後のサンプルは、直ちに当研究所で検証を行う予定です。

  • ネジ山の中腹までしっかり皮膜は形成されているか?
  • 袋底にメッキのムラや液溜まりの跡はないか?
  • 実際の嵌合(かんごう)に影響は出ていないか?

これらを徹底的にチェックし、次回のコラムでその「検証結果」をレポートします。 袋ナットの限界を攻めるこの試作、どのような結果が出るのか。私たちも期待と緊張を持って待機しています。

あなたの「難題」をお待ちしています

「こんな特殊な形状の内側に、メッキを乗せることは可能か?」 「耐食性を上げるために、新しい表面処理を試したいが、袋ナットでうまくいくか?」

もし、そんな疑問をお持ちであれば、ぜひ袋ナット研究所へ投げかけてください。 私たちはお客様の設計意図を汲み取り、最適な形状、材質、そして表面処理の組み合わせを共に検証するパートナーでありたいと考えています。

特殊仕様、難処理、小ロットの試作……。 私たちに、あなたの「こだわり」を形にする手伝いをさせてください。お問い合わせをお待ちしています。

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